2010年6月17日木曜日

競争的共創論―革新参加社会の到来

新しいコンテンツ作りで、ネット時代における衆合知の活用を通じた
イノベーションの起こし方のヒントを知りたくて読んだ書籍。

久しぶりに学会論文のような文体とまとめかたに多少面喰ったものの
内容的には新たな気付きもあり、そこそこ満足のいく読書ができた。
自分もかつては同様の文体で論文を書いていたことを思いだし
恥ずかしくも自分の成長を鑑みることができたという点で、
これまでとは違った読後感もある。
(当時は読み手のことを考える余裕などなく、ただ自分の論旨とその根拠を
 列挙しただけで、「論文」としていた。)

セブイレブンの事例では、店舗当たり売上が他社を圧する理由を
以下のような観点で多面的に分析し、結論を導いている点は納得感が高く
その裏にある具体的な施策(発注支援の充実と指導の徹底、分散発注、
独自商品開発とFFメーカーの占有化など)とあわせて理解することで
あれほどの強さを発揮している要因が理解できる。


■分析の切り口(数字の前の○は売上との相関度が高い項目)
○1.24時間営業店の占有比率
 2.チェーン内免許店占有率(酒販店の割合)
 3.チェーン内免許店占有率(たばこ販売店の割合)
 4.ドミナント出店
 5.少数店舗指導(店舗指導員ひとりあたりの担当店舗数が少ない)
 6.直接対話(トップや役員等が直接対話する頻度)
 7.配送多頻度
○8.粗利分配方式
 9.規模優位性


またこれらの優位性維持の施策としてのNBやPB開発に関する分析も
顧客の購買情報収集と分析がまずあり、まず確実に売れるであろう
商品との確証が得られている点と、発注規模の大きさにより、
他社以上にメーカー側に開発メリットを提示できていることが
よく理解できる。
加えて開発工場や拠点を占有化することを通じて、
顧客に最善のタイミングで商品提供ができる体制をつくり上げている点も
差別化のポイントとして利いていることが実感できた。

この書籍を通じて、あらためて理解できたのは、
ネット通販により顧客の購買行動をより精緻に分析できる時代において
情報の量(規模)とその解析手法の的確さが、販売会社の優位性の源泉
であること。
その点でアマゾンや楽天はますます勝ち組になりえると実感した。

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■書籍データ
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競争的共創論―革新参加社会の到来 (HAKUTO Management)競争的共創論―革新参加社会の到来 (HAKUTO Management)
小川 進

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