2010年2月10日水曜日

次世代ウェブ グーグルの次のモデル

Googleの次をどう捉えているか?
これを同じ著者の視点で一度確認したいと考え、この書籍を手にした。
(前作で、グーグルに対して中立的な視点で評価していることに好感を覚えた著者であり、その点で期待感を持って読んだ書籍である。)

結論から言えば少々期待はずれであった。

Googleを中心に先行サービスで圧倒的な規模と優位性をもった企業の存在が、ネットの世界に封建制度のような階層構造を出現させ、ある種の閉塞感を感じていただけに、これをやぶる新しい仕組み・サービスの出現をどう捉え、その後をどのように筆者が予想するかを期待していたが、そこまで踏み込んだ提案がなかったことは少々残念であった。
また取り上げられる日本での事例も成功例とはいえ、ネット社会の仕組みを変えるほどのインパクトをもった内容ではなく、その点でも力不足。

Googleのチャレンジの偉大なところは、人間がこれまで行ってきた情報の取捨選択判断を自動化したことにあると私は理解しているが、この背景には個が情報発信できることからくる、情報の多様化・複雑化・量化があるためであり、この前提が崩れるか、想定以上にこれが進むと判別の仕組みそのものが機能しなくなる。それがWEB2.0以降の時代と考えていただけに、ここでの新たなサービスの方向性を感じるなにかが、提言されることを引き続き期待したい。

またSNSなどのソーシャルコミュニケーションが発達することにより、情報グループの分化が一気に進むように個人的には考えている。そのときには情報そのものの価値は
 「情報の内容」×「発信者個人への信頼⇒所属するソーシャルネットワーク」
になるとすると、どのような集団に属し、日々どのような情報を流通させているかが判断の肝になると考えられる。これを仕組みで評価することができる企業が次の覇権を得るのであろうか?


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■書籍データ
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